ページの先頭 直接本文へ
ホーム(J)    >    木工に関するもの    =    ▲ 前       ▼ 次   

彫刻刀

大阪日本橋の道具屋

正倉院展に行く前に、いったん近鉄電車で大阪なんばに出る。堺筋の電気屋街にある○重商店に寄って彫刻刀を物色するためだ。先日の暮らしに寄り沿う木工展のために木の小物をいくつか作った。その時に小さな木皿やスプーンなどを彫るには彫刻刀が欲しいと思ったのだ。○重商店には以前から黒刃の彫刻刀が在庫してあるのを見ていたので、じっくり見て選びたいと思った。私も最近ではネット通販を良く利用するようになったが、さすがに仕事の道具だけは自分で見て手にして選びたい。ここは一間間口の小さな店だが、実用本位の豊富な品揃えで大阪に限らずひろく関西の職人御用達の店だ。

裏から見た彫刻刀4本
表から見た彫刻刀4本

画像中、値札のついた下の3本が○重商店で購入した物。内、柄に入っていないものはそれぞれ6分(18ミリ)と5分(15ミリ)の丸刃。こちらには三木章銘の刻印がある。塗師屋包丁にあった三つのを囲んだ意匠化された銘ではなく縦に三文字で表記してある。ただし、いかにも三木のこの種の刃物らしい質実さが感じられる良い物。値段も安い。下の柄のついたものは、5分のすくい丸の普及品。他にこの形の物がなかったので買っておいた。普通によく切れた。


正倉院展の拝観が終えるとあたりはもう暗かったのだが、少々時間もあったので奈良町の商店街をぶらついてみた。そういえばもう10年ほど前に訓練校の同期の生駒の岡村君に連れられて菊一文字に行って、そこで左勝手の切り出しを買ったなあと思い出した。ブラブラしていたらそのお店があった。年配の上品なご夫婦が留守番をされているきれいなお店。覗かせてもらうと黒刃の丸の彫刻刀が一種類、確かめると8分幅で大阪で買ってきた物とダブらない。ケースから出してもらって手にしてみる。一見華奢で薄く軽い、無駄な贅肉をそぎ落としたようなこれもすばらしく美しい刃物だ。鋼の鈍い光沢も裏の地金の処理もきれいだ。東大吉の銘が刻印されており、店主に聞くと三条の鍛冶屋の作で鋼は白紙、その鍛冶屋さんはすでに物故されているとのこと。これもなにかの縁と購入する。3,300円とやはり気の毒なくらい安い。


帰ってからさっそく柄を入れてみた。○重商店のオヤジに聞くと普通に二枚合わせで作れば良いとのこと。それで研ぎ減れば柄を切り出して使うのだそうだ。漆刷毛の要領か。材はチェリーを使う。柄の長さは6寸(180ミリ)にする。鋼の凹の部分が丸く抜けて間抜けだが仕方がない。

柄入れした彫刻刀3本

下の画像は、菊一文字で購入した東大吉銘の8分の丸刃のもの。柄の仕上げはグリップ感を良くするためもあって鉋で削りっぱなしにしてある。刃を研いで、夜遅くまで意味もなく端材を削ってみる。良く切れるし削りやすい。姿も良い(画像をクリックすると拡大画像が表示されます)。やはり目的に特化した道具というのは、それなりの価値があると実感した。

柄入れした24ミリの丸刃彫刻刀

▲ ページの先頭へ・(L)

XHTML1.0検証済 CSS検証済 Another HTML-lintで検証済

ホーム(J)    >    木工に関するもの    =    ▲ 前       ▼ 次   
roktal@d6.dion.ne.jp