親が壊れていく

30日(金)、第61回正倉院展に行く。昨年は行けなかった。

今年の展示では木工関係の宝物の展示が多かったように思う。別に参考にするとこかパクると言う訳ではもちろんない。職業がら他の分野に比べるとその意匠・技量のすばらしさがより分かりやすい。

久々に大阪に出る。後で述べるような事情で、ジャンクなもの食べ、つまらない時間を過ごしたかったのだ。

この夏前から壊れてゆく人間二人に時間を取られる。一人は半年余りの入院生活でほぼ寝たきり状態になり認知障害も出る。すでに治癒・機能回復の意思も、自分の病状に対する関心すら放棄して外界への関心もなくしている。本人曰く、ここは市の施設で自分はボランティアでここに来ているそうだ。私には痴呆の症状のひどくなった自分の配偶者の相手が面倒になって、この病院の個室に逃げ込んでいるように思えてならない。残された一人は既に昨年より認知証による記憶障害・妄想を生じていたが一人での生活によりそれがよりひどくなる。誰か家に入って来てものを盗る、勝手にしまうという妄想から始まり、その対策としてお金やらなにやらを隠す、隠した場所も隠した事自体も忘れる、盗られたと騒ぐ。それの後始末(通帳・カード、保険証などの紛失使用停止届けと再発行などなど)は既に自分では出来ない。用意すべきと言われる印鑑やら身分証明の保険証やらが覚えられないし、いつもそれらは盗られたなくなった状態なのだ。それらをなんとか集めて手続きをする私を逆に泥棒となじる。盗られたと騒いだものをある日平然と手にして悪びれることもない。

病院での病状説明、治療方針や日程こうした本人自身の基本的な事に関しても一人は無関心から一人は痴呆からすべて立ち会う必要がある。ケアマネージャーとの相談・打ち合わせ、様々な不始末の後処理からおしめの補充までほとんど毎日なにかがある。たしか今年の夏は寒く短かったはずだ、そういえばシルバーウイークというものもあったそうだ、世間では。という感じでこの半年ほど何かをしたという記憶がない。このままでは、体はともかく神経がもたない。お決まりの通りの身近な人間への泥棒扱いは、これからさらなる妄想、徘徊、排泄・摂食障害とこれから長期にわたり症状が悪化してゆくのだろう。寝たきりの方は、今の急性期型の病院からの退院を迫られている。