どろぼう市場

展示会の関係で月曜日の朝まで大阪は釜ヶ崎の簡易宿泊所(ビジネスホテル)にいた。せっかく日曜日の朝にここにいるのだからと、南海線のガード沿いのどろぼう市場を覗くことにする。以前(といっても10年以上前になる)に比べて明らかに店の数も少なく、活気もない。以前はどこからも持ってきたか(それこそどろぼう市場の名の由来であろうが)電動工具の中古品やらわけありそうなものが並んでいて、それ目当ての客も相応にたむろしていた。現に私の知人の同業者でも、ここで電動工具をあらかた揃えたと言っていたヤツもいたくらいだ。今は複製品のDVDやら、たしかこんなものもあったなあといった類の電化製品、なんに使うのだろうというガラクタのようなものがブルーシートに寂しく並んでいる。

それでも中に、少し大きめの薄い台に、これも薄手の一枚刃の鉋身を仕込んだものがひとつあった。地金もスの入った柔そうなもので裏も腐れもない。見るからに木口削り用の鉋で、荒使いにも重宝しそうで値段を聞くと1,000円と答える。600〜700円程度にまでなら値切れそうだ。ずいぶん迷ったが、もうこれ以上物や道具は増やさないと決めているので買わなかった。

もう時間も遅かったせいか(午前6時前)、職安近辺の道路には4~5台の手配師の車が並んでいたが、やる気もなさそうに車の中で新聞など読んでいる。年齢・風体からいって私などとくに違和感もなさそうと思うのだが、声もかからない。原発からみで、また悪質な手配師の出入りが多くなったと聞いていたのだが・・・。十数年まえに所用で三角公園(わかる人にはわかるでしょう)の前から少し路地を入ったところにある労働組合事務所に行ったところ、その路地のそこかしこでやられていた野球賭博のオッズか星取表のようなものをあわてて取り込んで、文字通り脱兎のごとく中に隠れるという光景を目にする。不思議に思って、その組合の人に尋ねるとああ、私服(警官)と思われたのだろうとのこと。まあ、当時からガタイはでかかったが、そんな人相が悪いかなあとあまり気分は良くなかった。そこから出るときは、もう安心されてたか皆なにもないように博打に興じていた。そういえば、昨年ここに泊まった時は、夜は覚せい剤の売人と覚しき中近東風の人間が結構たむろしていたのだが、それも取締の関係か今回は見ない。これはありがたい。