(かざり)金具の職人さんを訪ねました

12日(祝)、連休の終わりの日に、次の仕事に関係したお願いに、名古屋の錺金具の職人さんを訪ねる。

面識はなかったのですが、簡潔なホームページ(名古屋神仏錺金具)をお作りになっていて、それを拝見して不躾にお願いしたい仕事の内容をメールでまず問い合わせる。すぐに律儀な返信をもらい、何度かやりとりをして時間をとって頂いて、自宅兼工房にお邪魔することにした。 玄関のすぐ脇にある道路に面した大きなガラス窓に二面を覆われた八畳ほどの作業所でお話を伺う。手掛けられた名古屋城本丸御殿復元の、襖の引き手や長押の錺金具を拝見する。素人目にも見事なもので、いずれも銅をタガネなどで叩いたり削ったりして、最後はメッキや箔押しで仕上げるとの事。

名古屋城本丸御殿の長押の錺金具

名古屋城本丸御殿の長押の錺金具

同じく本丸御殿の襖の引き手

同じく本丸御殿の襖の引き手

引き手の制作過程。銅板を叩いたり削ったりして整形してゆく。

引き手の制作過程。銅板を叩いたり削ったりして整形してゆく。

こちらは、箔押しで仕上げてある。地金の上に水銀を塗ってその上から金箔を押して、その後から加熱して水銀を飛ばすのだという。いったんは金と水銀が合金化しており、その後水銀の成分を加熱して飛ばすため、微妙に水銀の成分が残る。それで普通の金箔と比べて落ち着いた上品な色合いとなる。また箔の微細な筋や継ぎ目も残らず強度も、メッキはもちろん漆で焼き付けたものより高いのだそうだ。

柱の錺金具。水銀で箔押ししたもの。

柱の錺金具。水銀で箔押ししたもの。

肝心の仕事の依頼に関しては、受けてもらえました。拝見した仕事から見て、ある意味失礼かとも思いましたが、そこはお互い「仕事しい」同士、妙な駆け引き抜きで、仕事の中身や予算も隠さず申し上げれば、なんとかしてもらえるものだと思いました。体使って仕事している分には、そんなにお金が儲かるわけではないことも分かってますしね、お互い。私は、こうして異業種の職人さんとお話するのが好きです。店舗の仕事や造作の仕事の場合は、大工や、軽天屋、クロスや左官と言った内装屋、水道屋、ガス屋、椅子張り屋などなど、皆、腕が太く上半身がごつくて、なんだか同じ空間にいても安心感があります。子育てを経験した女性も、それなりに腕が締まってたくましくていいです。逆にホワイトカラー(これも死語か?)な上半身が貧弱な男たちや、職人以外の異様に腕の細い若い女性は、もうなんだか別の世界の人のように思えてしまいます。


さて、この日も、近鉄と地下鉄を乗り継いで出かけました。休日ということもあって、そんなに混んではいなかったのですが、気になったのは乗り合わせた列車の優先座席に座った人間が、ことごとくスマホをいじっていた事。10代と思しきガキから50代くらいのオバさんの団体まで、老若男女を問いません。地下鉄では座席の足下に大きな字で携帯の電源をお切りくださいと書かれています。車内放送もしつこいくらい繰り返されます。見えない聞こえないのか、そのふりをしているのか。あと、これは主に若い女性ですが、電車が着いてホームに降りたあとも3人に1人くらいの割合で歩きスマホをやっています。親戚のおばさんで、ペースメーカーを埋めている人がいると言うことを別にしても、なにか悪いものに取り憑かれている亡者のようにしか見えません。ご本人たちは、そうした自分の醜怪で無様な姿を、一度客観的に見直してみるという事をしないのか不思議です。