犬と写真が好きな人のための2冊

図書館で借りたロジェ・グルニエの本2冊

図書館で借りたロジェ・グルニエの本2冊

  • 『ユリシーズの涙』 
  • 『写真の秘密』

いずれもロジェ・グルニエ 宮下志朗訳 みすず書房

『ユリシーズの涙』は、ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」の主人公ユリシーズとその愛犬アルゴスの逸話の紹介から始まります。

忠犬アルゴスは、・・・ずっと主人を待ち続ける。やがて・・・王ユリシーズが・・・故国イタケーの島に到達したーーーだれにも分からぬよう乞食に身をやつして。だがアルゴスは主人と見破る。

「(アルゴスは)そのときには、主人のいないままに、召使たちがユリシーズの広い地所にこやしをほどこすためにもっていくまで、門前に山と積まれたラバや牛の糞のなかに見捨てられて、横たわっていた。シラミだらけになって横たわっていたアルゴスは、ユリシーズが近くにいるのに気がつくと、尾を振り、両の耳を垂れたが、もう自分の主人に近づくだけの力はなかった。

ユリシーズは目をそらせ、エウマイオスにかくれてそっと涙をぬぐい、・・・・」

このさわりの部分で、犬好きの人間の気持ちがぐっと掴まれてしまいます。以降、よくぞここまで調べたものだというくらいに、様々な文学作品の中での犬に関することや、文豪と犬の関わりについての断片が紹介されます。あとは、興味のある人は、ご自分で目を通して下さい。ロジェ・グルニエさんの筆致は、いつもどこかシニカルで、けっしてベタベタとした感情の表現はしないけれども、対象に対する暖かい眼差しは確かに伝わってきます。


雑種犬・タロー、12才

雑種犬・タロー、12才

犬を写真に撮ると、なぜ実際よりというか実際とはかけ離れて、賢そうに写るんでしょう。対岸の別の犬の鳴き声に反応してアホ面して眺めているところをカメラにおさめます。なんだか視線を遠くにあずけて瞑想しているように写っていて、なんだこれはと、腹が立ったことすらあります。ちなみに上の写真は、アップで撮ろうと首輪を掴んで引き寄せてシャッターを切りました。なにさらすねん、おっさんとでも言いたげに面倒くさそうな不満そうな目をこちらに向けています。

『写真の秘密』については、また別に記事にします。