木の仕事展IN東海2016

私も所属している木の仕事の会の東海地方のメンバーによるグループ展・木の仕事展IN東海2016が開催されます。

kinosigoto2016
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  • DM表面(PDF)
  • DM裏面(地図、ワークショップ案内など PDF)
  • 例年、私はワークショップ担当のような形で、参加しておりましたが、今回は他のメンバーによる多彩なワークショップやイベント展示が予定されています。今回はBGM+喫茶担当と居直りたいと思います。

    自作派の定番・ダイアトーンのP-610のナラ無垢板のバスレフ型エンクロージャーを出します。これを、300Bシングル・モノラル・パワーアンプや、5881(6L6GT)プッシュプル・モノラル・パワーアンプで、鳴らします。ソースは、LPレコードも使おうか検討中です。黙って聞いていただいても結構ですし、CDやLPを持参頂けば視聴もしてもらえます。気軽にご来場下さい。

    • 日時 11月25日(金)〜27日(日) 10:00〜18:00(最終日は17:00)
    • 場所 東桜会館(名古屋市東区東桜2-6-30)
    • 主宰 木の仕事の会 東海

スケルトン・アンプ その2 正絹磨きのシャーシ

スケルトン・アンプでは、回路とかその定数は、既存の古いアンプから出力管と電源周りだけ変更して、そのまま流用するつもりでした。20年以上も前に作ったそのアンプを、懐かしさもあって測定しなおしたりして弄んでいるうちにハマってしまいました。

バラック組みのアンプを測定。左がオシロ、右が歪率計

バラック組みのアンプを測定。左がオシロ、右が歪率計

整流回路をGZ37で、バラックで組む

整流回路をGZ37で、バラックで組む

トランス類は、そのまま使うつもりで、新たに整流管を使った整流回路をバラックで組みます。随分以前に、回路実験というかデータをとるためにお菓子のブリキの箱を使いました。こんなものでもとっておくものです。球を変更するので出力管周りとNFB関係の定数だけ相応に変更するつもりでした。しかし、 オシロスコープの波形を眺めているうちに、我慢し切れなくなって 結局前段の回路から全面変更することにしました。このあたりのことは、また採ったデータとともに別に記事にしたいと思います。

スケルトンアンプの鉄板シャーシ

スケルトンアンプの鉄板シャーシ

古いボール盤を持ちだしてのシャーシの穴あけも終了。その鉄板の表面処理をどうするか、赤錆仕上げと悩んだのですが、今回は日本の古い鉄製金具で使われれている正絹磨きとしました。古いワラビ取手の再処理でやったことはあったのですが、これくらいの表面積のものに施すのは初めてです。色々問題はありそうですが、まあ今回は半分道楽ですからこんな所としておきます。マットな風情でなかなかに良い感じです。

シャーシの表面処理は日本古来の正絹磨きで

シャーシの表面処理は日本古来の正絹磨きで

スケルトン・アンプ その1

木工屋が、ボール盤を持ちだして鉄に穴を開けています。仕事というよりも、あらかた道楽なんですが、スケルトン・シリーズのひとつで、スケルトン・アンプとでもいいましょうか。来月末の展示会でお披露目いたします。

ホールソーで穴を開ける

ホールソーで穴を開ける

このボール盤は、30年ほど前にホームセンターで買ったものですが、久しぶりに使ってみると回転軸の精度は出ていないし、その軸と定盤の鉛直は出ていないしというバッタ物です。一応TOSHIBAブランドの台湾製です。まだ台湾製=粗悪品、中国製=論外というイメージを私自身も持っていた時代で、デフレ前のバブルの只中で、こんなものでも2万円ほどしたと思います。それでも、その当時はハンドドリルに比べて、作業精度・効率も格段に向上して喜んだものでした。

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これにホールソーを着けて最大・直径50ミリの穴を1.6ミリの鋼板に開けるのですが、定盤に木をボルトで固定して鉋で鉛直を出し直す。それにクランプで板を固定して、切削油をドボドボかけながら、まあそこそこきれいな穴が開きました。この穴のいくつかに嵌めこまれるものが、下のもの。これも20年以上も死蔵してきました。元々はイングランドで、私の出生と同じ時期つまり1950年代頃か、あるいはもっとずっと古くに作られたものだと思います。なにかの因果で、最後は私の物欲でこんな所に流れ着いたのすが、擬人化して、もし心があるならば山椒太夫にさらわれた安寿と厨子王のような気分でしょう。2本は、用途は違いますが同じシリーズのいわば兄弟のような真空管になります。かの姉弟のように素性いやしからぬ麗しい姿をしています。

Mullard EL38とCV378/GZ37

Mullard ブランドの出力管・EL38と整流管・CV378/GZ37

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まずは、紙の上で色々遊んでみる。

EH 300B(ロシア製)というものを買ってみた

金欠の時に売り払ったセトロン・300Bの代わりを買う。大阪日本橋に行けば、安い中国製が手に入ると聞いたが、さすがに大阪まで出る暇がない。それと交通費も考えると、ネット通販で中国製以外では一番安かったEH 300Bと言う物にした。ロシア製でステアータイト(磁器)ベースのもの。

EH300B

着いた物は画像のようなもの。ロシア製の真空管は、以前にも何種類か求めたことがあったが、いずれもガラスが厚く中の電極もしっかりと作ってあって印象は良い。EHというのは何だと思っていたが、Electro Harmonixという楽器とその周辺機器のメーカー(商社?)のようだ。真空管は、おもにギターアンプ用のものをロシアで作って自社ブランドで販売している。それにしてもパッケージとベースに印刷された人面はいかにも趣味が悪い。まさか、これはブランド名になっているハルモニア(ギリシャ神話の調和を司る女神だそうな)のつもりだろうか?

手もとにノーブランドの中国製(20年ほど前に購入)があるが、それと比べるとガラスの厚みがずいぶん違う。それとステアタイトのベースもあってかなり重い。細かいことになるが、売ってしまったセトロンの300Bはフィラメントを釣り竿というかジブクレーンのミニチュアのようなもので釣ってあった。本家のウエスタン・エレクトリックの物もそうらしい。いま手元にあるロシア製と中国製はスプリングバネで釣ってある。この真空管の前身である300Aが作られたのが1933年とある(75YEARS OF WESTERN ELECTRIC TUBE MANUFACTURING / Bernard magers)。この頃は、コイルのバネより針金の張力そのものを利用したこうした方式のほうが信頼性が高かったのか、はてまた安上がりだったのか良く分からない。

cetron300B

セトロン300B

china300B

ノーブランド(中国製)300B

eh300b

EH(ロシア製)300B

こんなことで特性が大きく変わるとも思えないが、見た目は釣竿式のほうが精密感というか手が込んでいるぞ感があって良い。高橋由一の絵で、こうして池に釣竿をのばしたものがあって、それがだらりとした風景画に凛とした緊張感を与えていたなあとか思い出す。真空管アンプなんて、見た目と自己満足感がほとんどすべてなので、こうした要素は大きい。

その他、電極をガラス管内部に保持するためのマイカの形状、ゲッターの飛ばし方、ベースの材質・ピンの有無など目についた形状の相違をまとめておく。なお、本家本元のウエスタンの物は所有したことがないので分からない。セトロンのものは、忠実なコピーというかそもそもOEM生産していたものなのか、これもよく分からない。それに対して、ノーブランド中国製はコピー商品だが面倒な部分は適当に間に合わせましたというまがい物(今の中国製は知りません)、ロシア製は電極の構造が同じで特性さえ合っていればいいのだろう、あとはこちらのやり方で行くぜという感じのコピー(というより同等品か)。それはそれで潔い。ロシアン・ライカもそんなところかなあ。あれだってライカのパチモンにはちがいないけど、堂々とZorkiとかFEDとか自分のブランドつけてるから、まあ、ある意味すごいなと思います。

手元にある(あった)300Bの形状の相違
セトロン ノーブランド中国製 EH ロシア製
上部マイカ 三角形、3枚止め 丸型、2枚止め 丸型(2重)、鋸歯状
フィラメント支持 釣り竿状 コイルスプリング コイルスプリング
ゲッター 1カ所 1カ所 2カ所
ベース ベークライト(?) ベークライト(?) ステアタイト
バヨネット・ピン あり あり なし
電極の向き バラバラ バラバラ 揃えようとしている?

300Bシングル・パワーアンプの修理

木工するのに気持ちのよい季節というのは、そう長くない。今がちょうどその時期なのだが、こうした時に限ってのように事務的な作業に追われる。これから2件のいわゆる箱物の少し複雑な物件の図面を仕上げなくてはならない。今は、こうした作業もCADを使って行うので、またしてもパソコンに向かうことになる。そうした作業は夜にして、昼間は普通に仕事をすれば良いというのは無理だ。もうずいぶん前にわかった。体も頭も、もはや若くない。結局遅れ遅れになって、お客さんに叱られることになる。

加えて、これは仕事とはいえないのだが、以前作ってもう10年以上も使ってもらっている真空管アンプの修理依頼がきた。じつは私のホームページでも飛び抜けてアクセスが多いのが、仕事の関係ではなくこのアンプの制作記事(300Bシングル・パワーアンプ)なのだ。先日大阪に出向いた折に、現品を見せてもらった。確かに音が出ない。一応裏蓋を開けて配線のチェックくらいはしたが、テスターすらない状況では診断は無理なので、真空管だけ抜いて本体は送ってもらうことにした。手で持って帰るにはこのアンプはあまりに重たい。

ヤマト運輸の宅急便で届いたのが10月3日、仕事が忙しかったのでそのまま梱包もほどかずにいた。8日(土)になって、梱包を開く。裏蓋を開けようとすると、あきらかに凹んでいる。それに四隅の溶接の内2カ所にひどいクラックが入っている。フタを取ると、一番大きな電解コンデンサーのハンダが一カ所外れている。これは相応の高さから落としたとしか考えられない。念のために送り主に、もしかして発送前に落としたりしたかと尋ねると、そんなことはしてないという。先週私がチェックした時も無事であった。

クラックの入った300Bアンプのシャーシ1クラックの入ったシャーシ(別角度)

ヤマトに一応連絡して、現状の確認と事故の調査をお願いする。まあ、丁重に対応してくれはしたが、到着後5日も経っているので調査も保証も難しいとの予想通りの返答ではあった。それにワレモノのシールは貼ってあったが、梱包がエアーキャップ(プチプチ)を巻いて、ガムテープでとめただけという仕事柄、信じがたいものであったので、あまり強くは出られないなとも思っていた。一番怖いのは、トランス類の断線やピッチの割れであったが、簡単な導通のチェックなど行うと、それは大丈夫そうであった。

気を取り直して落下による損傷のチェックも兼ねて修理に入る。

前に聞いていた症状によると、雑音が少しずつ目立ちはじめ、だんだん音量も小さくなり、とうとうまともに音が出なくなったとの事。 メーターでの300Bのカソード電流の値は60mAほどで正常値だから、初段周りが原因かと思って、交換の球をおくったが症状は改善せず云々。あらためてチェックすると同様の症状が再現する。300Bのカソード電流が正常に流れているということは、電源も含めた出力段まわりは正常だということなので、初段まわりが原因ということで問題はしぼりやすい。まずは常道に従い直流電位をチェックすると、初段のプレート電圧が異常に低い。これではまともに動作するはずがない。スクリーングリッドやカソードの電圧や、プレート負荷抵抗の前のデカップリングの電圧はほぼ正常値の範囲である。プレート抵抗が設計値よりずいぶん大きくなっていることになる。そこで、このアンプを実装したときに頭をよぎったためらいを思い出した。それについては後述する。

増大した抵抗値

51KΩの抵抗が、230KΩになっている

このプレート抵抗の設計値は51KΩである。この抵抗を取り外して測定してみると230KΩもあった。この抵抗には通常の動作で約1.1Wの負荷がかかることになる。だから、回路図にはちゃんと3Wの抵抗と自分で指定してある。そこに2Wの金属被膜抵抗を使っているのだ。いまならちゃんと5Wクラスの酸金(酸化金属被膜抵抗)を使うところだが、当時はプレート抵抗のような信号負荷となる所に音の悪い酸金抵抗など使うことに抵抗があったのだ。それで、2倍のマージンもとれないがカーボン抵抗と違って金属被膜抵抗は丈夫だと聞くし、リード線も太く放熱もよさそうだしと、勝手に理屈をつけて、これを着けたのだ。その時、やはり多少はためらいがあったために、今実際に故障が生じて、その事を思い出した。逆によくも10年近くもったものだと思うが、ついに焼き付いて急激に抵抗値が増えていったのだろう。

この抵抗を手持ちの3Wの酸金抵抗に交換する。落下の際はずれたであろう電解コンデンサーを付け直す。それと少し気になる事のあった出力段のカソードバイパスコンデンサーをついでに交換する。嘘のように正常な直流電位に戻る。もう発振機やオシロスコープを持ち出すのも面倒なので、遊んでいるロクハンのユニットをつないで裸で鳴らしてみる。パソコンに吸い出したモノラル録音の森山良子が若い声できれいに歌う。それが心地良い。念のため一晩通電させてから、あらためて直流電位だけチェックして音出ししても大丈夫であった。このアンプは今手もとに2台残っているのだが、肝心の出力菅をお金がないときにネットオークションで売り払ってしまい音を出せる状態ではない。このアンプを設計して作った20年近く前には考えられなかったように老眼が進み、体力も落ちた。測ってはいないが聴力だって相応に落ちて、若者なら聞こえる高周波なんてとっくに聞こえないはずだぜ。そうした老人の耳には、今あらためて聞くこのナローレンジの直熱3極管無帰還のアンプの音が優しいのかなと思う。中国製でもロシア製でもなんでも良いから、300Bをもう一度揃えてまた鳴らしてみようと思った。

修理で交換したパーツ

自分で作った物だが、これはいいアンプだと思った。それは、よくネットで見かける音がいいとか言う読まされる方が恥ずかしいような自画自賛ではない。10年使い続けて、私の部品実装の間違いで生じた故障以外は、球も含めて極めて正常に動作している事、シャーシにかなりのダメージを受けるような強い落下事故にもかかわらず基本部品に障害がない事、今回のような不具合が生じても回路も部品配置も単純で、チェックや部品交換が容易な事、などと言うことだ。ちなみに身の回りの電化製品、とくにオーディオとかビジュアルと称するジャンルの物で10年以上不満なく使えているものがどれだけあるだろう。そうした意味でもいいものであったと言うことは出来ると思う。ちなみに、このアンプは20年近く前では、特注のシャーシも含めて部品代だけで10万円ほどで揃えられた。その実費だけ頂いて何台か作って使ってもらっているのだが、タムラのトランスもずいぶん値段が上がって、今なら倍の価格でも部品を揃えるのは難しいと思う。


全くなんの保証もしませんし、責任も取りませんが、作ってみる価値はあるとかなと思います。個人でお使いになるなら、回路や配線、シャーシ図面もコピーしてもらってけっこうです。ただし、まったくの道楽でやっていることなので、質問の受付やアドバイスを行うつもりもありません。もとの記事で特定を避けた初段の管種ですが、ウエスタンの91B型アンプの構成の流れをくむもので、あとは回路図をよくご覧になれば分かると思います。3極管シングル・無帰還という構成なら、よほどデタラメな配線や部品配置でもしない限り、オシロや発振器といった基本的な測定機を持たなくても、テスターだけで音は出ると思います。ただし、相応に高圧電流も流れますし、発熱もあります。音が悪くなるとか言った迷信でヒューズを省いたりするのは危険です。配線に音が良いというこれまた迷信のことさら太い線材は使わない方が無難です。配線は、細めのスズメッキの専用の配線材を使いましょう。見た目も綺麗だし、ハンダ付け不良によるガサゴソといった嫌な雑音を発生させる可能性が少ない、という意味では音も良いはずです。配線材はスズメッキの上から軽く熱してハンダを染みこませます。その上で部品のリード線も同じですが、ラグ端子に一回だけからげた上でハンダを流せば、私のようにハンダ付けが下手くそでも失敗は少ないと思います。素人の私が、同じく素人の皆さんにアドバイスが出来るとしたら、それくらいです。繰り返しになりますが、万が一の事故や怪我に関しては一切の責任はとりません。