おこぼれを頂戴してきました

昨日、またへ行ってきました。久しぶりに福井との県境の峠まで足を延ばしてきました。晴天下、ここにこんな良い樹があったのだと言う再発見のようなものもあって良い気分でした。デジカメは持っていったのですが、カードが入っていなかったという良くやる失敗で写真はなし。でも、こうした時はカメラを出したり、構えたり、写り映えの良さそうな景色を探したりというスケベ根性から解放されて、じっくり邪念なく周りの景色や環境を観察出来ます。場合によれば、その中にゆっくり自分の身を委ねるような安らかな気分に浸ることも出来ます。

若い時は、カメラを首からぶら下げ、土産物を物色するような旅行のスタイルが嫌いで、ずっとカメラ自体を持っていませんでした。高校の時の修学旅行でカメラを持参していなかったのは私だけだったような記憶があります。今は、どこかいつもブログねたを探しているようなさもしさを自分で感じる事があります。

さて、今回も3度目で、あのブナの前に行ってしまいました。でも、結局そこが本来の登山道だったというオチなんですが、それはまたの機会にします。

シシや鹿や、その他山の動物たちのおこぼれを頂いて来ました。帰りの林道に架かるコンクリートの橋の上に、なぜかたくさんトチの実が転がっていて、少しばかり気分も高揚して拾い集めていたところ、同行の人からそんなに拾ってどうするのですか?と聞かれます。だって、楽しいじゃないですか!と答えて、自分でその言葉にハッとしてしまいました。それもまた次の機会にします。

頂戴してきたトチの実、クルミ、クリ

頂戴してきたトチの実、クルミ、クリ

設楽町・段戸裏谷原生林に行ってきました

以前から行きたいと思っていた愛知県設楽町の段戸裏谷原生林に行ってきました。

伊勢湾岸自動車道を使って、四日市からいつもの軽トラで2時間ほど。平日で観光シーズンの谷間の時季なので比較的スムーズに行くことができましたが、豊田松平インターから足助と香嵐渓を経由するこのコースは紅葉シーズンの週末では混雑するかもしれません。段戸湖というルアー釣りのための人工湖の脇に駐車場があり、そのすぐ裏側に原生林があります。

原生林の入り口にある段戸湖

原生林の入り口にある段戸湖 GXR A12 28mm

林地自体はあまり広くはなく、また中の林道や登山道がたいへん良く整備されているため、健脚の人であれば半日もあれば一通り森の中を巡ることが出来ると思います。

植生は非常に興味深いものでした。モミ・ツガの林とブナ・ミズナラの林が混交しており、その中でサワラ、ヒノキ、ミズメ、トチ、カエデ、ホウなどの様々な樹種を見ることが出来ます。代表的樹種については標識も付けられているため樹木観察にはうってつけの場所だと思います。立地や環境から、いつも行くのような奥深い神秘感のようなものはありませんが、それはないものねだりというものでしょう。

標識を頼りにモミとツガの識別方法を探ろうとしましたが、樹皮とか樹姿では結局分かりませんでした。強いて挙げると、ツガのほうが若干樹皮が松のように見えるかなとは感じました。

モミ

モミ

ツガ

ツガ

ミズナラも立派な大きな木が見られましたが、ここでもナラガレにやられて立ち枯れのものも多くありました。

ミズナラ

ミズナラ

ブナ

ブナ

その他にも色々な樹種を見ることが出来ました。

サワラ

サワラ

ホウノキ

ホウノキ

白い彼岸花

朝の雑種犬・タローを連れての堤防沿いの散歩では、見かける顔ぶれはたいてい一緒ですが、この四五日ほどは知らない人もチラホラ見かけるようになりました。春のサクラの季節もそうした事があります。春は花につられてという事なんでしょうが、すると今ごろは彼岸花に誘われてのことでしょうか。 進歩のない私にとっては、彼岸花はやはり山口誓子の句と、灰谷健次郎さんの『太陽の子』を連想させます。繰り返しても仕方がないので、よろしければ古いこちらの記事をご覧ください。→「曼珠沙華(彼岸花)

災害や、色々悲しいことも個々にはあるにしても、先人の知恵と努力のおかげで戦争も飢饉もこの国では避けてこれました。そのため死に花とも呼ばれたこの花の禁忌なイメージが薄れてきたのかなと思います。先入観なしに眺めれば、眼に痛いような赤が堤防のそこかしこに点描されたように並ぶ様は艶やかなものです。ただ、私にとってはこの花は『太陽の子』の沖縄戦の苛烈な体験により精神を病み自死してしまうふうちゃんのお父さんや、風車を手に泣いていたおじさんの事を連想させてしまうのです。

白い彼岸花

白い彼岸花

それと、タローを連れてこの川沿いの堤防や河川敷を歩くようになって5年ほどになりますが、これまで見ることのなかった白い彼岸花が少なくとも3カ所で咲いています。これも何らかの変異なんでしょうが冷夏と降雨の気象の影響なのでしょうか?

紗羅餐本店・什器の再塗装

先週の3日間、遅い目の夏休みに入った名古屋のお店・紗羅餐(さらざん)本店の補修に入る。今回は、長さ8m✕幅1mの2枚のブビンガのL型カウンターのウレタン塗装のやり直しと、長さ4m✕幅1mのやはりブビンガのテーブルの拭漆のかけ直し。これを3日間でやり4日目にはお客さんを迎えなくてはならない。手がけてから8年ぶりに手を入れることになる。

L型カウンター。厨房を養生して再塗装。

L型カウンター。厨房を養生して再塗装。

ウレタンは、2日でやり終えて、残り1日でVOC(揮発性化学物質)を飛ばせば良い。漆はこの雨続きの天候が幸いして、普通の生漆でもまる1日あればなんとか乾燥しそうだが、不特定のお客さんが使うことになる飲食店の什器としては心配が残る。昨年使った京都の佐藤清代松商店のLTH漆なら、冬場に室なしでちゃんと乾燥した。佐藤豊会長に電話で相談したら、今の天候なら間違いなく1日で乾燥するが、やり直しの場合は油や手汗が少しでも残っていると難しいとのこと。木地のまま最初からやるより、使い込んだものを拭漆をかけ直す方が手間もかかり難しい。飲食の什器なら、一度下地から全部剥がすくらいのつもりでやった方が良いとアドバイスを受ける。

ウレタン塗装のカウンターは、オープンキッチンの厨房側の一枚には、8年分+新装前の2年分の厨房からの油や手汗がこびり付いている。サンダーではペーパーの目に詰まって取れない。ステンレスのコテをスクレッパー替わりにして、小削ぎとる。その上でシンナーで洗ってサンダーのかかる状態にしてから研いでいく。これを8m✕1mにわたってやらなくてはならない。屋内作業としてはかなり不健康だ。

その上からシーラーを2回、半艶のクリアーを2回刷毛で塗る。以前の2液製のものと違って1液製で薄め液もない。扱いの面では紛れも少ないが、硬化が遅い。塗布後、シーラーは空研ぎ、フィニッシュは水研ぎをしたがカタログにある硬化時間(それぞれ2時間)を経過しても十分に硬化せずに、研げない。環境とか健康への対応で業務用の塗料もしだいに水性化しつつあり、以前使っていた2液製のウレタン塗料なども製造中止となっている。硬化時間など、少なくとも使い勝手の面では性能的に追いついていない様に思うが、それはこちらの発想を変えなくてはいけないのだと思う。

再塗装の終わったブビンガのカウンター。長さ8メートル!

再塗装の終わったブビンガのカウンター。長さ8メートル!

再塗装したL型カウンターのもう一枚。

再塗装したL型カウンターのもう一枚。

拭漆のテーブルの方は、8年間の使用で表面の漆の塗膜はほとんど劣化して所々に輪染みも出来ている。佐藤会長のアドバイス通りに、とりあえずその輪染みが取れる程度には研磨するつもりで、#150→#240→#400とサンディングを繰り返す。その上に、テレピン油で2倍程度に希釈したLTH漆を塗る。一昼夜置いてチェックすると部分的に輪染みが残っていた。しかしながら硬化自体は十分で、空研ぎをしてもサラサラと研磨できる。もう一度輪染みを削り落として、今度はLTH漆の原液を塗って摺り込む。都合2度しか重ねていないが、それでも見違えるようにきれいにはなった。

拭漆をかけ直したブビンガのテーブル。こちらは長さ4メートルある。

拭漆をかけ直したブビンガのテーブル。こちらは長さ4メートルある。


さて、今回も木工房またにの若森昭夫君に応援を頼んだ。この店の仕事自体を一緒にやってもらっているので、説明抜きで要領も分かってもらえる。それに、拭漆とウレタン塗装と両方ができる人間は、知っている限り他にいないのだ。実は、若森くんは先月お母様を亡くされたばかりで、まだ四十九日の法要も済ませていない。それを分かってあえてお願いした。私も昨年、母親を亡くした後まだ四十九日の前に、普段なら受けないような納期的に厳しいつまらない下請け仕事を受けた。とりあえず体を動かしていると気が紛れるのだ。その時も、立場は違うが若森くんに応援をお願いした。その事を彼もよく分かっていて、今回も快諾してくれたのだ。