裏庭に彼岸花が咲いた

家の裏庭に4輪の彼岸花が出た。これまでここに彼岸花が咲いたという記憶がない。3輪はひとつ所から。もう1輪は紫陽花の陰から。

裏庭に咲いた3輪の彼岸花
RICOH GXR A12 50mm MACRO

赤の階調差の表現というのはデジカメの最も苦手とするところかと思う。このリコーのカメラユニットは上手く処理してくれる。
RICOH GXR A12 50mm MACRO

彼岸花は種子をつけず球根性の植物で、鳥や風が運ぶわけでもない。他から土を入れた記憶もない。この2年あまりはダンボールコンポストで作った堆肥をせっせと土に混ぜ込んでいるが、その材料は私の仕事で出た広葉樹のプレーナー屑と糠と自宅の生ごみで彼岸花の球根や根が混ざることも考えにくい。カボチャが生えてきたりビワが実生してきたことはあった。

昨年12月に死んだ雑種犬・タローの骨の一部をこの庭に埋めた。どうしたってその事を思い起こす。 彼岸のいわれは仏事とも習俗ともその習合ともいわれているが、亡くなった人を思い起こすそのよすがとなるのがその名の通り彼岸花だ。

以下は学生時代の民俗学の講義で習ったことの断片だ。

今も各地に残る田んぼの中の小高い社や墓地は、両墓制時代の埋葬地であった。そう考えるとその共同体の埋葬地である小山やそれに通じる田の畦などにこの季節に一斉に咲きだす鮮やかな彼岸花の朱は、死者が自らのことを思い出しておくれと咲かせたものだと考えても自然だ。それを迷信だの前近代な妄想だとするほうが心が貧しいと思う。

ところで私の生活範囲(おもに2匹の保護犬の散歩の範囲だが)で突然変異としての白い彼岸花が毎年どこかで現れる。今年は家の近くのかつて大きな製陶所のあった空き地に咲いた。同じ場所に現れることはない。これもまた不思議なものだ。

OLIMPUS EP-5
MZUIKO 45mm

5年になるのだ

今年は暖冬だったせいか早くも花を着けはじめたキュウリグサ。抜いたつもりが今年も生えた。これは私にとってはワスレナグサなのだと思うことにする。

今年はずいぶん早く咲いた。

キュウリグサ。今年はずいぶん早く咲いた。 RICOH GXR A12 50mm

今年も3県の遺族の代表の方々の切々とした、でも感情をあえて抑えたような言葉と語り口に心を打たれる。天皇陛下も仙台平野を襲う黒い津波船を守るため、あえて沖に出た漁民の勇気などと、おそらくは映像で見た被災経験をご自身の言葉で語られる。高齢化して、忘れられようとしている人、一人ひとりを決して置き去りにしないようにと言うお言葉も、何度も被災地を訪れ避難所で膝をついて、被災者と言葉をかわされた体験からにじみ出たものだと思った。

それに対して、首相たるこの3代目のアホボンの言葉の軽さ内容のなさは何だ。途中から音声を消した。心から決して着実になどなど、こうした形容詞ばかりの言葉は、実は何も中身がない。もちろん自分の言葉ですらない。そうした軽佻浮薄な心のこもらない言辞は、亡くなった人への冒涜だと思う。

今年は暖かいと、新地町に行った連れ合いからメールが入る。

古道具の鎬鑿しのぎのみを買った ー 終い天神2015

年末の25日は、京都に納品でした。お施主さんのお住まいは、千本釈迦堂や北野天満宮にほど近い西陣にあります。こちらからお願いして25日を指定しました。いわゆる終い天神の市の日です。車をお宅に置かせてもらって、短い時間ですが覗いてきました。

結局買ったものは、中古の鑿1本だけです。800円と言われて、500円に値切って買いました。鎬鑿(しのぎのみ)と言われるものです。画像のような状態のものでしたが、きちんと研ぎ直して、柄をすげ替えるなど手を入れれば良い姿の道具になる。そうした素性の良さのようなものを感じました。良く切れる使いやすい道具というものは、美しい姿をしているものです。例外はありません。8分(24ミリ)の鎬鑿は持っていないし、鋼の小刃の部分が薄いのも良い。

終い天神で買った鎬鑿(全体)

終い天神で買った鎬鑿(全体)。タブレットで撮影

刃先。幸いグラインダーは当てられていないようだ。

刃先。幸いグラインダーは当てられていないようだ。

羽裏。ダレて入るが、表から叩いて裏出しをやり直す。「クサレ」といわれる鋼を貫通する錆はないようだ。

刃裏。ダレて入るが、表から叩いて裏出しをやり直す。「クサレ」といわれる鋼を貫通する錆はないようだ。


こういうものを手に入れると、とにもかくにも玩びたくなります。睡眠時間2時間のときもあったこの年末でも、やってしまいました。時々、仕事が好きなのか仕事の道具を弄るのが好きなのか、他人から揶揄される時もあるし、自分でもそんなふうに考える事もあります。でも、以前にも書いたとおり(砥石の話・まとめ)、私の場合、こうして道具を弄る事が、とりもなおさず仕事を続けていく大きな動機付けになっています。

さて、研ぎあげてみると画像のように凛とした美しい姿になりました。テキ屋かそこにたどり着くまでの過程か、多分錆を落とすために、かなり乱暴にペーパーが当てられています。こうした古道具では、ありがちですが、そのため鎬の稜線がダレてしまっています。それでも、元のキリッとしまった形は保たれているように思います。実際に使ってみましたが、よく切れます。それに、ハシカイ感じもない。幸いなことに、乱暴にグラインダーなどは当てられていなかったようです。こうした古道具、特に鑿とか小刀の類は、炭素鋼が使われている場合が多く、下手にグラインダーなど当てられると、焼きが戻って全く切れなくなっていたり、逆に焼きが入りすぎてハシカくなりすぎて、刃こぼれを起こしやすく、これも使い物になりません。

ちなみに、下の1枚は、オリンパスのマイクロフォーサーズ規格のM.ZUIKO 45mm F1.8 というレンズで撮っていますが、こうした道具を撮るには、パースペクティブ(遠近感)の関係では、こうした90ミリ相当のものが自然に見えるようです。ただし、このレンズは寄れません。その下の3枚のような接写は出来ません。

研ぎあげた鎬鑿(全体)

研ぎあげた鎬鑿(全体)
OLYMPUS M.ZUIKO 45mm F1.8 / PEN E-P5

研ぎあげた鎬鑿(刃先)

研ぎあげた鎬鑿(刃先)
RICOH GXR A12 50mm MACRO

研ぎあげた鎬鑿(羽裏)

裏は叩いて押し直した
RICOH GXR A12 50mm MACRO

もう1枚、刃先をマクロ的に撮ったものを貼っておきます。画像をクリックすると拡大画像(1200 x 797px)が表示されます。さらに縮小前のオリジナルサイズ(4288 x 2848px)の画像も置いておきます。これを見ると、仕上げ砥石をかけても残っている研ぎ筋もよく分かります。

刃先のマクロ画像 RICOH GXR A12 50mm MACRO

刃先のマクロ画像
RICOH GXR A12 50mm MACRO

「山」に樹を見に行く 4 サワグルミ

サワグルミやオニグルミなどのクルミの仲間は、山の沢筋に多い木ですが、平地の河川敷や中洲などでもよく見られます。かつて住んでいた京都の桂川の中洲にはオニグルミが何ヶ所か自生しておりました。講座で桑名に自転車で通う途中の、東海道の朝明川にかかる橋のたもとの河川敷にも2本のクルミの木がありました。確認はしてないのですが、残念ながらサワグルミだと思います。残念というのは、実を採って食することが出来ないという意味です。オニグルミとサワグルミは葉とか幹だけでは、なかなか判別しにくいのですが、夏に青く丸い実がつけばオニグルミだという事で良いでしょう。細かい事を言えば、小葉の縁に細かい鋸歯があるのがサワグルミということなど色々判別法はあるようです。

サワグルミの群落 このようにまとまって生えているのは珍しいように思います。 GXR A12 28mm

サワグルミの群落
このようにまとまって生えているのは珍しいように思います。
GXR A12 28mm

クルミの類は、先駆樹種の一つ、それもかなり有力なもののようです。沢筋や河川の中や際に多いというのも増水などで流された後に真っ先に侵入してくる樹種ということなのかもしれません。それと、木としての個体の寿命は100年とも150年とも言われています。サワグルミなど、シオジと間違えるような通直なけっこうな樹高のものも見ることもあるので、成長はその分早いのでしょう。それでやがては他の樹種に遷移されていく。クルミの単相林とか大きな群落というのは見たことがありません。

こちらはオニグルミ(たぶん?) GXR A12 50mm

こちらはオニグルミ(たぶん?)
GXR A12 50mm

木工材料としてのクルミ類の位置づけは、

ウォールナット > オニグルミ > サワグルミ

という感じでしょうか。色目(色の濃さ)、重さ、固さも上記の順になります。私は、この仕事を始めた最初の頃、たまたま手に入れたサワグルミを使って小さな棚を作りました。その端材で左勝手の繰り小刀の鞘を作りましたが、今手元にあるのは、それくらいです。妙な固定観念に取りつかれて、その白く軽く柔らかい、穏やかな木目の材を、安物の下駄の材料とか、当時フラッシュの心材として、やはり安く出回っていたファルカタみたいなものくらいに思っていました。ちなみに、そのファルカタも今やカービングなどに良く使われる高級材になりました。

でも、今でもそこそこ資源が残っていそうなこと、成長が速く更新資源としても管理できそうなこと、白く柔らかく、大人しい木理で応用範囲が広そうなこと、など家具木工材料として実は有用なのではと考えています。

「山」に樹を見に行く 3 ミズメ

ミズメについては、以前に書きました(→ミズメ)。本当にサクラによく似ていますが、分類上は科から違っています。

ミズメ

ミズメ GXR A12 50mm

樹皮もサクラにそっくりです。縦に入った傷は獣の爪研ぎの跡かなあ。

ミズメの樹皮

ミズメの樹皮 GXR A12 50mm

そのミズメを使って仕事をしました。訓練校の実習以来、さんざんやった上端留(うわばとめ)五枚組接ぎというものです。 こういう仕事にはカバの類のように粘りがあって固い材が刻みやすいのです。 中でもミズメはその質や見ためもヤマザクラに近い良材です。

上端留五枚組接ぎ

上端留五枚組接ぎ

これで何を作っているかというと、8ミリ厚、800×600のガラスを落としこんで漆定盤にします。自分用です。座り作業用に短い足を付けようとも思いましたが、今後の使い勝手も考えて天板だけにしました。これならテーブルに置いても使えます。この上で漆をヘラでねったり混ぜたり、あるいは漆錆や糊漆・麦漆を練ったりします。前から欲しかったのですが、ようやく作る事が出来ました。

ミズメの枠に8ミリ厚のガラスを落とし込んだ漆定盤

ミズメの枠に8ミリ厚のガラスを落とし込んだ漆定盤

漆定盤細部

漆定盤細部

「山」に樹を見に行く 2 白い花など

先日行った「山」では、深緑の中で白が目につきました。

まずは、ヤマボウシ。ヤマボウシの名は山法師からきているとありますが、そう言えば白い花弁(ガク)が時代劇などの叡山の僧兵のかぶり物のように見えたりします。

ヤマボウシ

ヤマボウシ GXR A12 50mm

続いて、ウツギ。卯の花です。おからの事を卯の花と言ったりしますが、なんとなくそう見えてくるから思い込みというのは恐ろしい。木工屋にとっては木釘の材料として知られています。ウツギは山と言わず平地の際にもよく見られるので、頂戴して自分で木釘を作ろうといつも思うのですが、ヨキとか鋸とかを持参していないので、いまだにかないません。

ウツギの花(卯の花)

ウツギの花(卯の花) GXR A12 50mm

あと車で走っていても目につくのはマタタビの花と葉です。これも山の際に自生するツル性の植物で、この時期には葉を白く塗ったようになります。

マタタビの花と葉

マタタビの花と葉 GXR A16 55.5mm(85mm相当)

変わったところでは、モリアオガエルの卵。画像では杉の木にたくさん産み付けられています。切り株に産み付けられているのは初めて見ました。枯死したか伐られたかで他に適当な木がなかったのでしょう。

杉の木に産み付けられたモリアオガエルの卵

杉の木に産み付けられたモリアオガエルの卵

切り株に産み付けられたモリアオガエルの卵

切り株に産み付けられたモリアオガエルの卵

修了試験でした

今日は、初任者研修の修了試験でした。欠席なく講座を履修した6名に受験資格があり、やむなく欠席のあった2名は補修を受けた後、来期の講座で受験ということになるそうです。

結果は、受験した6名全員が合格。しかもほとんどが満点に近い点数だったそうです。試験そのものは、落とすための試験というより合格させるための試験という感じでした。一つの問に5つの文章があり、その一部分が空欄になっています。そこに、5つの選択肢としてあげられた言葉を埋めるという形式です。引っ掛けの逆で、意味が多少曖昧でも文脈だけから判断しても、合格ラインの7割くらいは回答できそうな問題です。

対策も手厚く、試験の前日には試験問題と5つの選択肢そのものを、講師が読み上げそれを受講生がメモするという答え合わせのような事もやってくれます。それでも、41問×5→205の文書を読み上げメモするだけで正味4時間、けっこう大変でした。試験の意味がないと言われそうですが、それは試験というものを、選別するもの、ランク付けするもの、振り落とすもの、という固定観念からくるのかなと思いました。205例の文章は、それぞれが授業でやられた介護の理論と実践に関する大事な内容で、それを試験というイベントを通して繰り返し耳にして、自分でも書き写すことにより、自ずと体に染み込ませることになりました。講座の最初の頃に提出させられた、ほとんど教科書を丸写しのようなレポートも、そうした意味があったと思います。

さて、昨日帰りに寄った「つたや」さんには、かりんとうまんじゅうが残り9個。明日は定休日だそうで、明後日は講座は休み、最終の金曜日は自転車ではなく電車にするつもりなので、これが最後になります。ちょうど受講生と講師合わせて9人なので、皆さんにお配りしました。色々話題にしたり、地元の人に尋ねたりしたこともあって最後に穴埋め出来たように思いました。

こちらは、一号線沿いにある立派な木造建築のお菓子屋さん。こちらは縁がなかったというか、またの機会に。

桑名益生、1号線沿いにある御菓子処 和(かず) GXR A12 50mm

桑名益生、1号線沿いにある御菓子処 和(かず)
GXR A12 50mm

「エビ川」の桜、ほぼ満開となりました

いつも雑種犬・タローを朝夕の散歩に連れてゆくエビ川の堤防の桜が、今日はほぼ満開になりました。エビ川というのは、海蔵川(かいぞうがわ)のことですが、ある人がエビ川とおっしゃいます。最初、あの揖斐川(いびがわ)のことかと思ったのですが、どうも海蔵海老と勘違いされていたようです。海蔵川(かいぞうがわ)というのは、字も読みも四角すぎて面白くない、エビ川というのはなんだか可愛いいので、しばらくここではそう呼びます。

さて、そのエビ川は市内でも有数の桜の名所になっているようです。人もたくさん集まります。マイクなしの地声なら高歌放吟は別に気になりませんし、けっこうだと思うのですが、花の下での焼き肉(バーベキュー)はやめて欲しいですよね。一方で毎朝早くボランティアの人たちがゴミ袋と火箸を手にゴミを拾ってくれています。

この季節の、ブログねたの定番のようで食傷気味だとは思いますが、桜の写真を何枚か。本当は、桜を見に来ている人を撮っている方が好きなんですが、今回はこれくらいで。

RICOH GXR A12 50mm

RICOH GXR A12 50mm

RICOH GXR A12 50mm

RICOH GXR A12 50mm

RICOH A12 50mm

RICOH GXR A12 50mm

sakura5

RICOH GXR A12 50mm