桔梗の透かし彫 2

先日、実際に使われている建具の鏡板の透かし彫を見せてもらいました。サクラと杉でしたが、エッジが立ってすっきりした仕上がりでした。振り返って自分の桔梗のそれは、残念な仕上がりかなあと思って、あらためてチェックしました。まず大きさが全然違っていて、たとえば私の桔梗の花弁の境は、太い所でも1.5ミリほどしかありません。だからまあこれはこれでと納得しておきます。お施主さんは、別にフィルターをかけなくてもちゃんと桔梗に見えるとおっしゃって頂いていますしね。ただ、やはりもう少し上手になりたい。

桔梗の透かし彫。直径36ミリ程。

桔梗の透かし彫。直径36ミリ程。

ただ、このままではいかにも脆く実用的ではないので、神代タモで裏打ちしておきました。なぜ神代かというと、同じチェリーでは面白くないし、手持ちの材で色物というと、ローズ、黒檀、ブビンガ、ウォールナットなどになります。神代が、一番桔梗とイメージがあうような気がしたからです。

組紐用の作業台

組紐用の作業台

SOU・SOU足袋

講座も、実質的には今週で終了の予定です。今日は実習科目の最後で、睡眠に関すること。具体的にはカラの、加えて利用者(被介護者)をベッドに置いたままのシーツ交換の実習だった。これは介護に限らず実生活でも役に立ちそうだが、私は体が動く限り布団で寝たいのでまだ先の事と思いたい。一人3回ずつ行ったが、シーツをマットの角に巻き込む際の折り目の綺麗さなどに性格というか性分が出てしまう。一見几帳面そうで、実はずぼらでガサガサしているという私のそれも、見事に結果に現れていたなあ。見ている他の受講生の困ったような沈黙の反応が痛い。

実習の間は、動きやすい服装と上履きをということで、私はいつか現場で履こうと思っていた SOU・SOU の地下足袋を着用。普段は介護の現場で働いている講師の人2人に、動きやすそうと褒められる。

介護実習で着用している足袋

介護実習で着用している足袋

古本市

一昨日の青空古本市で買った2冊。いずれも100円

青空古本市で買った2冊

青空古本市で買った2冊

懐石全書 春夏秋冬 1 一月二月三月 淡交社

懐石は茶道の精神を持って料理されるのですから、まず心入れのある手料理であらねばなりません。山海の珍味や、季節はずれのものをご馳走するのではなく、四季折々の旬の新鮮な材料を茶事の趣向によって取り合わせ、演出し、その素材を充分生かした調理に心がけるのです。それは煮すぎず、焼きすぎず、あまり手を加えすぎず、できるだけ自然のままに仕立て、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、かおりと熱を大事にして、つくりたてのほやほやをこぎれいに盛り合わせて客にすすめます。これが懐石ではないでしょうか。

あまり手を加えすぎずに反応している気もしますが、別に懐石云々と構えずに普段の料理の心がけとしては、間違っていなかったかなあと嬉しくなります。それでもこの本に書かれているような、あとひと手間のような料理を作りたいなあと思います。100円で随分楽しめそうです。

エンツェンスベルガー 国際大移動 野村修訳 晶文社
エンツェンスベルガー著・野村修訳という私の定番のような本ですが、これは持っていませんでした。

エンツェンスベルガーの『スペインの短い夏』という本は、内戦下の共和国側スペインの指導者でアナーキストのドゥルティの短い生涯のドキュメントです。私にとっては、歴史書あるいはドキュメントというのはかくあるべきというお手本です。ベンヤミンの「歴史の概念について」という論考を、実際のドキュメントとして形にするとこうなるのか。実際に、エンツェンスベルガーもこのベンヤミンの論考を意識して書いているのだと思います。原著は、1992年の発行となっていますが、今のヨーロッパのレイシズムやネオナチの台頭や、日本のヘイトスピーチを考える一助にしたいと思います。

やはり50円とか、100円で買ってもらった本たちも、新しい持ち主の手で楽しんでもらっているかなあとか考えていると、これも楽しくなります。

桔梗の透かし彫

頂いた仕事(組紐用の作業台)で、なんでもどこでもいいから桔梗を入れて欲しいと依頼される。象嵌、レリーフ、ステンシルなど考えられるが、結局当たり前に小さな透かし彫を抽斗の前板に入れることにする。あまり大きいのもいやらしいので、直径36ミリ程度と考えた。上手な人ならミシン鋸で簡単に抜いてしまうのだろうけど、持っているおもちゃのようなミシン鋸、手挽きの糸鋸、いずれも失敗。結局扱い慣れた鑿と小刀でなんとか形になる。それでも3回目、目切れ部分を壊さないように和紙で裏打ちしてようやく形になった。あらためてこうしてデジカメで撮ってみると歪んでいるしガタガタだし・・・。それらしく作ってもらえれば、自分の中では強烈なフィルターが働いて、たいては桔梗に見えるとか言ってもらっているのですが、さらに細かい修正と仕上げを1本だけ手元にある篆刻刀で行おうかと思案中。

前にも書きましたが、やはり自分は器用ではなかったとまた納得させられます。

kikyou

チェリーに桔梗を彫る