第12回木のある暮らし展に出展します

私が長らくお世話になっているNPO法人・まどりさん主催の、第12回木のある暮らし展に、出展いたします。是非お越しください。私の他にも、5人の工房家具を営む人も参加します。主催者のまどりさんの活動趣旨にそって、出展される家具・木工品はすべて合板類、VOC(揮発性有機化合物)を含む接着剤・塗料を使用していないものに限られています。

  • 主催;NPO法人まどり
  • 日時;3月4日(火)〜9日(日) 9時〜17時
  • 場所;近畿中国森林管理局森林のギャラリー 大阪市北区天満橋1丁目8−75

詳しくは、こちらにPDFファイルを置いておきます。ご覧ください。

なお、私は8日(土)、9日(日)は終日在廊予定で、8日はワークショップを担当します。そのほか平日も適宜駐在予定ですので、来場される場合は事前に声をかけて頂けば幸いです。

E-mail roktal@d6.dion.ne.jp   携帯 090-2701-6403

12回木のある暮らし展

残業モードに入りました

昨日から、残業モードに入りました。通常は、8時から17時という就労時間を守るようにしているのですが、納期前になるとそうも言ってられません。

ちょうど良い天気が続いています。なんで、こんな天気が良いのに仕事場(会社、学校)に行かなくてはならないのだろうとこんな折はつい考えたりします。思い返すと、小学校に上がったばかりの頃からグダグダそんな事を考えていたような気がします。高2の時に、それを実行に移し、担任に呼び出されてこのまま遅刻・欠席を続けると落第になるぞ!と脅されました。でも、本格的にドロップアウトする根性もなく半世紀が過ぎました。春めいてきた光を浴びながら、昼休みにデジカメをポケットに自転車で近所を駆けて気を紛らわせています。

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いつもの剣留とアホ留の仕事です。仕上げ削りを終えて組むばかりのたくさんのパーツが並んだ状態の方が、組み終わった後よりうつくしいと思う事がよくあります。プラモデルやブロックのおもちゃを組み立てる前のワクワク感と同じことなのかなと思います。

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今度もチェリーの仕事です

仕事のBGMには、歌物は歌詞に神経がいってしまって集中が途切れることもあります。そんな場合は、リズムの安定した優しい曲がいい。このタチアナ・ニコラーエワのバッハの『平均律クラビーア曲集』(VICC-60607~08)を聞いていると、グレン・グールドは、彼女のパクリだったのではないかと思えてきます。

ニコラーエワのバッハ・『平均律クラビーア曲集』

ニコラーエワのバッハ・『平均律クラビーア曲集』

引き続きアメリカン・ブラックチェリーを使った仕事です。ここまで、木取りと木作りが終わると、もう半分以上は仕事が終わった気分になります。

ブラックチェリーのテレビボードのパーツ

ブラックチェリーのテレビボードのパーツ

全開にしても、レールが見えない引き出し金物があります

次の仕事で使う金物(引き出し用のスライドレール)です。オーストリアのブルム(BLUM)社製です。Made in Austoria 1308 3P-160と印字されているので、よくあるオーストリア・ブランドの中国製ということでもなさそうです。奥行き・300ミリ用で、2セット(引き出し2つ分)で送料など別・税込み1万円をわずかに超える値段です。

ブルム社の引き出し用レール

ブルム社の引き出し用レール

私は、この手の引き出し用のスライドレールとか、扉用のスライド丁番とかいった金物は、原則として使いません。理由は、まず美しくないじゃないですか。それにこの手の便利金物は、それを使うとたいていは、まずそこから陳腐化していきます。もしせっかく無垢の木を使った家具ならもったいない。それに作り手の立場からすると、それを平気で使う美意識の欠如を別にしても、大事な何かを失うことになると思います。ビスケットいも着けと同じで、一旦この手の便利金物を使ってしまうと、面倒で相応の熟練が必要な平丁番とか引き出しの削り合わせとか、手のかかる仕事は出来なくなってしまうようです。便利さとか新しさは、別に使い手の便のためではなく、往々にして作る方の手抜きと規格化のためのものです。

底付け・全開、下のように組んでひk出しの底につける

底付け・全開、下のように組んでひk出しの底につける

それでも、このブルム社の金物だけは多少値がはりますが使ってきました。それは、全開・底付けが出来るものが他になかったからです。具体的に示すと下の画像のようなものです。引き出しは全開ですが、不細工なレールが引き出しの側板にありません。それに抽斗の開閉時のショック吸収と引き出しの前板を押すことで開く機能がオプションで選べます。両手のふさがりがちな台所とか、多少なりと重量のかさむ物を全開で見るような用途では、今のところ、他に代わるものはないと思います。それに、もうひとつ言い訳めいた事を言うと、下の画像のようなレールの使い方だと、レールを外してもわずかな補修で通常の引き出しに戻すことが出来ます。

全開式だが、レールが見えない

全開式だが、レールが見えない

 

オイル塗装

小卓(センターテーブル)の塗装2回目。私は、特に指定のない限り家庭用の家具・木工品の塗装はドイツ・クライデツァイト社のオイルを使っています。下塗りにベーシッククリアオイル、仕上げにグロスクリアオイルというものを使い、途中サンディングを挟んで最低3回塗り重ねます。ドイツの非石油系の自然塗料というと他にアウロリボスの2社のものがあります。安全性とか信頼性という面では、この3社に関しては大きな差はないように思います。主成分は3社ともアマニ油ですが、硬化剤の成分などに違いがあるようです。アウロとリボスは、ともに柑橘類の成分のようなものを配合しているようです。特有の匂いがあります。硬化するとその匂いは消えるのですが、作業中・乾燥中のその匂いが気になります。私は長らくアウロ社のオイルを使っていましたが、その匂いが次第に文字通り鼻につくようになってやめました。クライデツァイト社のものは、硬化剤にテレピン(松脂)系のものを使っているようです。テレピンの匂いは、美術室のそれを思い出して嫌いでないし、オイル自体の粘度が他の2社より低く、扱いやすいことも気に入っている理由です。強度とか撥水性という意味では、いずれもそれなりに、としか言えません。ウレタン塗装とか拭漆とは比ぶべくもないと割り切るしかありません。

仕事と考えると、この程度のオイル塗装だけで、時間を潰すわけにはいきません。並行して、次の仕事の木取りをしていますが、拭き取りが前提のオイル塗装の場合、ウレタン塗装のように埃にシビアでないのも、我々小規模木工所向きと言えます。

ウォールナット+チェリーのテーブルににオイル塗装を施す

ウォールナット+チェリーのテーブルににオイル塗装を施す

水組 その2

組んでみました。今作っている小卓の端ばめと脚になります。これくらいなら、「水」の字と言ってもこじつけがましくないかな。

水組

水組

これが小卓のパーツです。

サイドテーブルのパーツ

サイドテーブルのパーツ

水組という組手を使った仕事をしています

今やっている仕事では、水組という組手を使っています。下の画像は、去年試しに組んでみたものです。実は、この組手どうやって組むのか図録や写真で見ても分かりませんでした。それで試しにやってみたのです。水組の呼称は、組手を角を視線の中心に見ると漢字の「水」の字に見えるという所から来ているそうです。

サンプルで作った水組

サンプルで作った水組

水組を使って見ようと思ったのは、意匠的な面もあってのことですが、サンプルを作ってみて分かったのですが、強度という面でも優れた点があります。具体的には、通常のたとえば7枚組よりも建築で言う降伏ヒンジという側面で大きな利点があるように思いますが、それは別の機会にします。

ホゾの部分は、治具を作って丸鋸盤で切りましたが、後の作業はひたすら鑿などの道具を使った手作業になります。手作業と言っても鉋かけのように全身を使ったものではありません。それでも続けていると身体がほてってきます。一見、動かしているのは腕だけのように思えますが、実はよく言われる腰をいれた状態で全身の筋肉を適度に使っているのかもしれません。

刻み終えた水組の部材

刻み終えた水組の部材

ちなみに、この組手は下のように互いに45°の状態を保ったまま角からずらすように組んでいきます。まあ、実際にやってみないと分かりづらいと思います。

水組の組み方

水組の組み方

暫くは無垢板で、楽しく仕事が出来そうです

年末は、集成材やMDFを使った仕事が続きました。これから暫くは無垢板を使った仕事になります。また3月のはじめには大阪でNPO法人・まどりさん主催の木工展へ出展します。1月、2月は相応に楽しく忙しく仕事が出来そうです。

ウォールナットのセンターテーブルの天板に予定している材です。年末にあらかた平面を出しておきました。いわゆる国内挽きのもので、ミミを落として幅は480ミリほどあります。根玉から挽いたもののようで少し硬そうですが、さすがは国内挽きというかシラタの幅も揃っており、ひどいネジレや歪みもありません。この程度の板ならば、手鉋だけで平面出しは可能です。きちんと台下端の調整の出来た台鉋で、妙な力を加えずに、削っていきます。そうすると自然と板の凸部分だけが削れていきます。そうして板全体に鉋を送って行くと次第に平面が作られていきます。削り残しというか、全く鉋の刃が当たらない部分もある、むしろ最初の頃は削れる部分のほうが少ないくらいですが、あせってはいけません。そもそも凹んでいる部分は、他の部分より低いから刃が当たらなくて当然なわけです。他の高い部分が次第に削れて、同じ高さになって、つまり平面になって初めて刃が当たるようになるのです。それを無理に力を加えて、削れるようしても材も鉋台も歪みを増すだけです。捻れに関しても、ある程度以上(出来ればいわゆる寸六であれば十分です)の幅の台鉋で、下端が相応に調整出来ていれば、順に送って削っていけば修正出来ます。本当に台鉋というのはよく出来た道具だと思います。

元の板の状態、ミミを落とす

元の板の状態、ミミを落とす

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少しづつ平鉋で平面を出す

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年末はこの状態で、プレーナーで厚みを出す。

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正月休みで1週間ほど置いて、再度平面を修正。

私もそうなんですが、鉋(台鉋)というのは、本来平滑な面を作るための道具という事を忘れて仕上げの道具のように考えがちです。たしかにそうした面はあります。ただし、基本は平面を出すための道具です。自動鉋盤で厚み出しをした材に鉋をかけるのも、仕上げではなくて鉋盤で削って生じた微細な凹凸を削って直すと考えたほうが良いと思います。